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ssh1074 パークスとスイッツァーとバニラエア(3)〜運動と弾圧 [三題噺]

<2018>


 ボストン・マラソンに強行出場し女子マラソンの扉を開いたキャスリン・スイッツァーのエピソードをコミュニケーション英語Iの授業で読みビミョーな反応を示した高1生も今や高3生。バリバリの受験生です。志望校への進学を実現すべく、2年前なら想像できないレベルの英文をけっこうなスピードで読んでいます。

 そんな彼ら彼女らに再びビミョーな話題が登場します。マーティン・ルーサー・キングJrに関する英文です。

 この教材はバスボイコットで公民権運動スポークスマンに抜擢されたキングの戦略・強み・人柄などを扱いながら、不当逮捕や脅迫を受けてもひるまずワシントン大行進を成功させ、暗殺後に叙勲したことについて、かなり概説的にあっさりと扱っています。

 あっさりしてるのはいいんですけど、肝心のバスボイコットがどういう経緯で起きたのか全然触れられてないんですね。さすがにこれじゃ困るだろうと思い、バスボイコットの発端となったローザ・パークスの一件を生徒に紹介しました。当時の運行規定に反して白人に席を譲らず警察に逮捕されたというアレです。


 すると。またまた例のビミョーな反応がうっすらと湧いてきたんです。今度はうっすら、ですが。

 生徒からすると、気持ちはわかるけどそこでそうやってイスに座り続けるのって得策なのかな、もっと他の方法ないのかな、てな感じだったんでしょうか。「他の方法」なんかとっくにやり切っていてそれでもラチがあかないからこういう形になってるわけなんですけど、どうもピンとこないようで。


 言っときますけど、戦後史の勉強は今の高校生の方が昔の高校生よりはるかにきちんとやってます。私が受験生だった1980年ころだと歴史問題の出題は1945年までに限定されていました。現在は高校入試でも戦後史がちゃんと問われます。

 ただ、世界史は弱いんですよ。中学で扱う世界史はいたって限定的で、南北戦争も扱いません。公民分野で何とか触れてはいますが大したことはできない。高校は世界史AかBが必修ですが、Aだと本当に大雑把なことしかやりません。


 ピンとこないと言えば、キングがちょくちょく拘置されたというのもピンと来なかったようです。仕方ないから教えました。一例として彼は軽微なスピード違反で逮捕拘束されているということを。つまりは弾圧のための不当逮捕なわけですけど、このあたりの話をしたときの生徒たちのまあるいお目々はちょっとした見ものでしたね。

 当然でしょう。権力ってものは邪魔なヤツは弾圧します。弾圧ってのはいきなり軍隊で襲うばかりじゃありません。理由のつく逮捕拘束なんてのはもっともやりやすい弾圧です。不当逮捕不当拘束なんて別に昔話でも外つ国の話でもありません。籠池泰典の拘置はアムネスティからも批判されています。


 まあただそれでも、生徒たちの反応のビミョーさはスイッツァーの時に比べるとだいぶ薄いものでした。

 2年前にスイッツァーの件を読んであるということもあるでしょうが、もっと大きかったのはキングの話を読むちょっと前に、バニラエアの車椅子乗客の一件を扱った文章を読ませておいたからだと思います。

 読ませたのはこの「批判は役に立つか?」という記事です。

 



 筆者は吉岡友治。小論文指導の大家で、一度お会いしたこともあります。掲載したのは学年向けの進路通信で、全文掲載ができなかったのであちこち省略して載せました。

 吉岡はバニラエアの一件を全面的に評価しています。ああいう形で事件となったことで初めて問題は可視化され、多くの人々が問題として認識し、会社も改善に動かざるを得なかった。行政も身体障害者への対応を改善すべしという立場を明確にしました。バニラエアの一件はまさに身体障害者に移動の自由を与える画期的な運動となったわけです。



 ツイッターはなかなか有用なメディアです。けど140文字しか書けない。細かい話や論理だった話は苦手です。

 クソリプも面倒です。豆腐の角に頭ぶつけて死んだほうがよろしいレベルのトンマが愚にもつかないボケナスリプをよこしたりする。

 さらに、せっかく共感してくれても、けっこう誤解が含まれることもあります。

 次の投稿では、そこいらへんについて触れる予定です。

 で、そのあと、なぜ1990年代後半から高校生の暴力は外から内へと向かったのかを私なりに考察したものをもう1本書くつもりです。ネタはほぼ固まってますので。


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