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ssh1046 同質化・同調圧力〜小論キーワード [小論キーワード]

<2017>
<ssh426再録>

 今回の小論キーワードは「同質化」と「同調圧力」。
 この2つは、特に若い世代が社会生活(学校生活を含む)で感じているストレスを考察するのに非常に有効です。

  実はどちらの言葉も、手元の辞書には載ってません。
 同質というのは、文字通り「質が同じ」ということ。
 「これらは同質の問題だ。」と言えば、これらの問題は何らかの違いがあるように見えても、実質的には同じような問題であるということです。学校だと「学習面の問題と生活面の問題は得てして同質だ。」なんて言い方があります。どちらも根は同じ、ということです。

 同質化というのは、言葉とおりに捉えれば、同じようなものになるという意味です。
 ただし。
 小論文のテキストでは、この言葉は大半が批判的な意味で使われます。つまり好ましくない同質化。

 例としては、
 ・グローバル化は、文化の同質化を伴う。
 ・画一的なカリキュラムは、生徒の個性を奪い、多様であるはずの生徒に同質化を促す危険がある。
 ・どの地方都市へ行っても全国チェーン企業の看板が立ち並び、風景が同質化している。  
などなど。
 小論テキスト的には、同質化というのは、没個性とか、多様性の衰退とか、オンリーワンを認めないという感じの文脈で用いられることが多いようです。

 教育関係だと、学校というのは生徒を同質化させやすいという指摘がよく行われます。
 同じ地区の同じ年齢の人間が集まる場である以上、どうしても同質化されやすい。
 しかも学校は、一定のカリキュラムに従って、1人の教員が40人かそこらの生徒に向かっている。どうしても「みんな同じ」にやろうとしがちです。
 みんなと同じようにするというのは、社会で生きていく上で大切なことでもありますが、度を超すとただのone of themとしてしか生きていけなくなります。
 学校のクラスは同質集団である、などとよく言われます。

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ssh728 実践トレーニング〜「押しつけは歴史的事実」という見出し [小論キーワード]

<2015>

 

 ひさびさの実践トレーニングは、up-to-dateな国会関係の報道から。

 課題文はこちら。

 

◆◆「押しつけは歴史的事実」 「GHQ憲法」めぐり参考人質疑 衆院憲法審

 衆院憲法審査会は4日、早稲田大の長谷部恭男、笹田栄司両教授と慶応大の小林節名誉教授を招き、現行憲法の制定過程などをテーマに参考人質疑を行った。

 小林氏は連合国軍総司令部(GHQ)による「押し付け憲法論」について「日本が占領されていたのだから押しつけられたのは歴史的事実だ」と指摘。その上で「この憲法のもとで素晴らしい発展をとげたことは間違いない事実。恨み節を言い合うよりも今どうするかにエネルギーを使っていただきたい」と続けた。

 また、3氏は憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使などを容認する政府・与党の手法に否定的見解を示した。(産経新聞 2015.6.5)◆◆

 

 

 問: 下線部はこの記事の見出しとして適当か。適当か不適当か自分の立場を明確にし、理由をつけて述べなさい。なお、以下の資料を参考としてよい。

 

 資料:

 1.

 ◆◆見出し(名詞) 新聞・雑誌などで、記事内容が一見してわかるように、文章の前に示す簡単な言葉。(大辞泉)◆◆

 

 2.

◆◆自公推薦の憲法学者、安保法案は「憲法違反」

 衆院憲法審査会は4日、立憲主義などをテーマに、各党が推薦した3人の憲法学者を招いて参考人質疑を行った。

 自民、公明両党などが推薦した長谷部恭男・早大教授は、集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法案について、「憲法違反。従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と指摘した。民主党の中川正春氏が見解を聞いたのに対して答えた。

 与党推薦の参考人が安保関連法案を「憲法違反」と指摘したことについて、自民党内では波紋が広がった。佐藤勉国会対策委員長は審査会終了後、同党の船田元・審査会筆頭幹事に会い、「参考人の人選には十分配慮してほしい」と語った。自民党幹部は4日夜、「国会で今、何を議論しているのか、審査会の自民党議員は全く分かっていない」と激怒した。審査会メンバーは「中川氏の質問は予想を超えていた」と釈明した。

 一方、民主党の枝野幹事長は読売新聞の取材に対し、「いかにでっち上げの法案か、自ら認めているようなものだ」と政府・与党を批判した。(読売新聞 2015.6.4)◆◆ 


 

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ssh727 忖度(そんたく)〜小論キーワード(23) [小論キーワード]

<2015>

 

 今回の小論キーワードは「忖度」。

 読みにくい漢字ですね。

 

 ◆◆忖度 (そんたく) 他人の気持ちを推し量ること。「相手の真意を忖度する。」など◆◆

 

 原義はいたって単純。別に小論文で使うこともなさそうな言葉です。

 ところが、忖度という言葉が、論説文でここ数年やたらと使われるようになっています。

 

 

 贈収賄事件というのは、立件が難しいのだそうです。

 金品の授受は立証できたとしても、それが便宜をはかってもらう目的でなければ、贈収賄にはあたらない。

 A氏がB氏に金品を渡し、「例の件をよろしく」と言えば、A氏に便宜をはかってもらう意図が明白であり、A氏の贈賄が成立する。

 しかし、A氏がB氏にそういうことを特に何も言わず金品を渡し、B氏が「これは例の件をよろしくというメッセージだな」と受け止めて便宜をはかった場合、A氏の贈賄は成立しない。

 B氏がA氏の気持ちを「忖度」した場合、A氏の意図は立件できません。


 会社で不正が行われたときも、「忖度」が絡むと立件が面倒になります。

 組織ぐるみの不正であったかどうかは、上層部からの指示の有無が焦点になります。もし部下が上司の意向を「忖度」して、指示を受ける前に行動していれば、上司は無罪となるでしょう。どんなに横柄で日頃からパワハラを働く上司であったとしても、その件で直接の指示がなければ立件は困難です。


 

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ssh690 アイデンティティ〜小論キーワード(22) [小論キーワード]

<2014>

 

 ssh687で「沖縄のアイデンティティの問題」という言い回しが出てきました。

 何気なく紹介したものの、「アイデンティティ」という単語は、まだsshできちんと紹介したことはなかったです。

 というわけで、今回は小論キーワードとして、アイデンティティを取り上げます。

  • identity()身元・正体・個性・独自性・自己認識・(自己)同一性・アイデンティティ

 さて、高校生ならご存知の通り、identityにはお友達である重要な派生語があります。

  • identify()確認する・見分ける
  • identical()全く同じ・同一の
  • identification()確認・同定・身分証明(ID)

 学生時代、これらが派生語なのに意味があまり似てないことに困惑しました。どうやって覚えたらいいものかと。

 で、最終的に落ち着いたのが、こういう結論。

 ある人物をAとします。で、Aさんの住所氏名年齢職業顔写真などなどをaとします。

 Aさんは生身の人間。aは運転免許証や身分証明書の記載事項です。

 AさんがAさんであることを確認するということは、Aさんの素性がaと一致していることを調べることです。もしAさんの身分証明書の記載事項がaと異なっていたら、Aさんの本人確認はできない。

 

 A=aであるとき、A is identical to/with a. つまり「Aaは同じ」と言います。

 A=aであると認めるという意味の動詞がidentify「確認する」です。

 A=aであると確かめる行為をidentification「確認」と言います。

 そして、aのことをidentityと言います。

 

 

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ssh661 差別と偏見〜小論キーワード(21) [小論キーワード]

<2014>

 

 9ヶ月ぶりの小論キーワードです。

 今回のキーワードは「差別」と「偏見」。

 英語だと差別はdiscrimination、偏見はprejudice。もちろん高校生なら必須の単語です。

 

 差別と偏見。感覚的には似てます。普段の生活では、差別と偏見の違いをいちいち気にはしていません。

 実際、授業中に生徒に「差別と偏見の違いは何?」と聞いても、たいてい口ごもります。

 でも、違いはあります。それもかなり明確な違いが。

 

◆◆

 差別(さべつ)

 1 あるものと別のあるものとの間に認められる違い。また、それに従って区別すること。「両者のを明らかにする」

 2 取り扱いに差を付けること。特に、他よりも不当に低く取り扱うこと。「性別によってしない」「人種ー」

 3 仏教用語の差別(しゃべつ)(意味省略)

 

 偏見(へんけん)

 かたよった見方・考え方。ある集団や個人に対して、客観的な根拠なしにいだかれる非好意的な先入観や判断。「を持つ」「人種的

 (大辞泉)◆◆

 差別は、差を付けて不当に扱うこと。

 偏見は、偏った見方や考え方。

 差別は、現実世界で他者に対して差別行為を行うこと。

 偏見は、自分の内面にある偏ったものの見方や考え方のこと。

 差別は、外界に向けていろいろな形でなされるもの。

 偏見は、頭の中にあるもの。

 

 つまり。

 差別は行為であり、偏見は価値観である。

 もっと言えば、内的な偏見を外的な行為に移したものが差別である。


 

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ssh620 陰謀論・陰謀史観〜小論キーワード(20) [小論キーワード]

<2013>

 

 「インボーだ!これは陰謀に違いない!」

 

 あ、冒頭から古~いギャグで失礼しました。誰も知りませんかね。1975年ころに井上順がよく使ってたんですけど。バラエティ番組で井上がちょっとイジられたりするとこう叫ぶのですよ。「インボーだ!これは陰謀に違いない!」と。

 たかがTVの中の出来事に「陰謀」という誇大妄想を使うから、ギャグになったわけです。

 

 さて、今回の小論キーワードは「陰謀論」「陰謀史観」

 

 陰謀論というのは、世の中で起きるもろもろの事件・事故・問題の原因を、何者かの陰謀であると決めつけることです。

 2000年のアメリカ9.11テロはイラク戦争開戦のためのアメリカによる自作自演だ、という人がいます。こういうのが陰謀論です。

 

 陰謀史観はそれの歴史版。歴史上の様々な出来事を、何者かの陰謀によるものと考える姿勢です。

 真珠湾攻撃は連合軍側の陰謀にはまった日本軍がしかけてしまったものだという人がいます。こういうのが陰謀史観です。

 

 陰謀論・陰謀史観が成立するには、ちょっとした条件が必要です。

 まず、陰謀を企てて実行できるような巨大な悪が必要であること。小物には陰謀はムリです。

 巨大な悪としては、国家とか権力とか財界とか労組とか日教組とか秘密結社とかいうのが好適。冷戦期には東側陣営というステキな巨悪(?)があったのですけど、これはもはや落日。

 2つ目の条件は、想像力が豊かであること。

 陰謀は、ちゃんとストーリーが完結していなくてはいけません。どんな巨悪が、何を狙って、どういう作戦で陰謀を実行したのか。途中に欠落があっては陰謀が成立しません。陰謀論者は、あらんかぎりの想像力を働かせて、その欠落を埋めねばなりません。

 と書けばホメてるようでもありますけど、つまりは誇大妄想ですね。誇大妄想の力がないと陰謀論者にはなれません。


 

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ssh610 合理的・合理化〜小論キーワード(19) [小論キーワード]

<2013>

 

 今回の小論キーワードは「合理的」と「合理化」です。

 別段、珍しい言葉でもありません。合理的も合理化も、よく目にします。

 合理とはつまり、理にかなっていること。合理的はその形容詞で、合理化は理にかなうようにすること。

 と、これで説明が終われば目出たいのですが、そうは問屋が下ろさない(この言い回しも最近聞きませんねえ)。一見簡単そうな言葉こそ、油断大敵。

 

 理にかなっているという意味なんですから、本来、合理的も合理化も、いい意味の言葉であるはずです。

 ところが、実際には、この2つは、純然たるほめ言葉として使われることは少ない。

 それどころか、少々問題のある状態を述べるために使われることが多いのです。

 

 

 まずは「合理的」から。手元の辞書によると、

  1. 道理や論理にかなっているさま。「な自然界の法則」
  2. むだなく能率的であるさま。「な処置」

 1.は定義とおりで、いい意味の用法と言って良いでしょう。

 問題は2.です。

 ムダなく能率的というのはいい事ではあるのですけど、100%の正義とは言えません。

 ビジネスの世界ではムダを省いて能率を高めるのは重要なことです。でないと利益は上がりません。

 しかし、それを求め過ぎたおかげで肝心の商品やサービスが市場から嫌われて利益を落としたという例はいくらでもあります。

 合理的なことも、過ぎると嫌われかねません。

 実際、この言葉は「確かに合理的ではあるが・・・」というような断り書きの中で使われる事がおおい。合理的であることが決めセリフになることはまずありません。

 

 

 「合理化」の方は、もっとトゲがあります。

  1. 道理にかなうようにすること。また、もっともらしく理由づけをすること。「自説を強引にする」
  2. 能率を上げるためにむだを省くこと。特に、企業などで、省力化・組織化によって能率を上げ、生産性を高めようとすること。「経営をする」
  3. 心理学で、たとえば言い訳のように、理由づけをして行為を正当化すること。

 1.からしてかなりよろしくないニュアンスがあります。「自説を強引に合理化する」なんて、橋下徹か石原慎太郎が出てきそうな感じ。

 2.はちょいと説明不足。企業が「合理化」と言う時にもっとも意味するのは人員整理、つまりクビ切りです。会社にとって最大のコストは人件費です。ビジネスの世界で「合理化」と言えば、クビ切りの婉曲表現です。

 3.もよくない意味ですね。つまりは言い訳ですから。


 

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ssh588 共依存〜小論キーワード(18) [小論キーワード]

<2013>

 

 今回の小論キーワードは「共依存」。

 手元の辞書には載っていません。けど、共依存という言葉はけっこうよく出てきます。特に人文科学と教育学では必須です。

 

 あっさり言ってしまうと、共依存というのはお互いに依存し合っている好ましくない関係のことです。

 ここでのポイントは「好ましくない」という部分。

 共依存は、好ましい意味では使われません。ここが「共存共栄」とか「共生」とかいう言葉との一番の違い。

 共依存という言葉は、基本的に批判の言葉です。


 

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ssh574 身体性〜小論キーワード(17)  [小論キーワード]

<2012>

 

 今回の小論キーワードは「身体性」。

 文字通りに捉えれば「からだの上の」ということでしょう。医学ではそういう意味で(身体性情報とか)使うようです。

 しかし、小論キーワードとしての「身体性」は、そういう意味ではありません。ものごとを論じるときに使われる際の「身体性」です。辞書にはあまり載っていません。

 一言で言えば、その人の深い思考や長い経験に基づいているものを身体性があると言います。

 ちょっとわかりにくいですか。

 

 理解しにくいものにぶつかったときの方策として、逆を考えてみるという方法があります。

 今回は、この方法で身体性を理解してみましょう。

 

 身体性のない言説、身体性に欠ける物言いとはどんなものか?

 思いつくまま、箇条書きにしてみます。

  • 定型句・定型表現ばかりである。
  • 他人の意見をそのままパクっている。
  • TVや新聞や雑誌などどこかで聞いたような話である。その人ならではという面がない。
  • 正論だけを述べている。
  • 現実味がない。(現実味と現実的は違います。現実味がないというのは、聞いててウソくさいという意味です。)
  • 誰でも言いそうなことを言っている。多くの人が「そーだ、そーだ!」と同意してくれそうなことを言っている。
  • よく考えた上で出てきたような物言いではない。売り言葉に買い言葉的な、反射的に繰り出されたような言葉を使っている。
  • 結局「だからボク悪くないもん」と言っているだけ。責任逃れ。
  • 上と似ているが、他者の非をあげつらうだけで、自分への視点がまったくない。
  • その意見を述べることで、何の責務もリスクも発生しない。
  • 謙虚さがなく傲慢。自分にはまだ知らない・わからないことがあるはずだという感覚がない。
  • ツイッターみたいな物言いである。
  • 自身の経験に基づいていない。あるいは、わずかな経験だけで一般論をぶちあげている。
  • 「やはり」「当然」「常識」「当たり前」「~に決まっている」「◯◯は××でしかない」などのマジックワードが多用されている。
  • ズバリ、自己無責任論である。(自己無責任論とは、「自己責任論」を他人に対してだけ主張して自分の責任を回避する卑怯者の詭弁です。詳細はリンク先をご覧ください。)

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ssh565 受容と拒絶〜小論キーワード(16) [小論キーワード]

<2012>

 

 今回の小論キーワードは「受容」と「拒絶」です。

 受容とはつまり、受け入れること。英語だとacceptです。

 受容の反対は拒絶です。受け入れないこと。英語だとneglectrejectturn downあたりでしょうか。

 どちらもよく使う言葉です。

 申し出を受け入れる。申し出を拒絶する。新しい文化を受容する。新しい文化を拒絶する。別段難しくありませんね。

 

 ところが、この言葉は、目的語が人間になると、途端に話がシリアスになります

 親が子どもを受容する。親が子どもを拒絶する。

 彼女のありのままを受け入れたい。私のありのままを受け入れて欲しい。彼は本当の私を最後まで受け入れてくれなかった。

 あのクラスは担任を拒絶している。あの先生は言うことを聞かない生徒を拒絶している。

 子どもは自分を受容して欲しいと願っている。などなど。

 

 一人の人間を受容する/受け入れるというのは、高校生くらいだとピンと来ない人が多いのじゃないでしょうか。

 いや、大のオトナでも、よくわからないという人は多いはずです。でなきゃ親子関係で悩むオトナがたくさんいるはずない。 

 

 一人の人間を受容する/受け入れるというのは、その人の行為や実績や経歴やその他を勘案する前に、まずその人の存在そのものを「よきもの」として認めるということです。

 言うことを聞くからいい子だとか、学校の成績が優秀だから誇らしいとか、確かにそういうのは親としてとても嬉しい。

 でも、その前に、子どもがいてくれること自体が自分にとってありがたいことである。

 存在そのものが「よきもの」であるというのは、そんな感覚です。


 

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